わが子に語る星と宇宙の話:川津祐介著(1983年) [’23年以前の”新旧の価値観”]
■科学が生み出したもの
科学の功績は、人間を支配していた目に
見えない因習や陋習(ろうしゅう=わるい習慣)、
こびりついた先入観を、人間から取り除いたことであった。
同時に、科学が犯した最大の失敗は、
目に見えないからといって、人間を超えた大いなる
存在としての神まで締め出したことではないだろうか。
科学的に人々が物事を考えるようになってからは、
春になると野原に花が咲き乱れるのは、
「神様がそれを喜びたまうから」ではなく、
「気温や湿度や日長の結果として・・・」と
いうことになってしまった。
物と物の目に見える因果関係だけで、物、事が上手に
説明できるようになり、ぼくたちは、目に見えないものを、
いっさい心の中から捨ててしまった。
そしてそれまで神がおられた場所(心の中の場所)に
自分(=人間)を据えた。自由・平等・正義は、
人間を中心に据えられて考えられるようになった。
人間中心の自由・平等・正義は西洋で生まれ、
東洋にまで伝わり、今では世界中にほぼ行き渡っている
(「現実」が、ではなく「考え」がだ。現実にはまだ
これらを全て人類が手に入れたわけではない)
そのプロセスの中で、人間の未熟さやエゴイズムや
愚かさが拡大してしまったように僕には思えてならない。
僕達が、心の中から神を捨てた時、僕達が自然の一部であり、
自然に支えられ、また、自然を支えることで存在を
許されているということをすっかり忘れてしまった。
なんかのきっかけで臨死体験がおありだと知り、
一度読んでみたいと思っていた折
今年2月に亡くなられてしまった。
お悔やみ申し上げます。
柔らかいタッチと体験や経験からくる
自論がある人の書籍は 面白いし、
興味深い内容だった。 読んでいて、
ほぼ反射的に以下を思い出した。
「大切なものは目に見えないんだよ」
『星の王子さま』から抜粋
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(1943年)
余談だけれど、川津さんを見ると子供の頃、
テレビ版「ワイルドセブン(1972年〜1973年全25話)」の
草波隊長を連想してしまう。
そんな人、多くはないだろうけれど。