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[その2] 感動する脳:茂木健一郎著(2009年) [’23年以前の”新旧の価値観”]

感動する脳 (PHP文庫)

感動する脳 (PHP文庫)

  • 作者: 茂木 健一郎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2009/04/01
  • メディア: 文庫
前回の続きです。

ぜひこれも抜粋しておきたかったのです。

■大切なのは「意欲」
私たちが生きていく上で、最も大切なことは
何なのでしょうか?
夢や目標、あるいは使命感や充実感。さまざまな言葉で
その大切なものは表現されています。そしてそのどれもが、
大切なものであるには違いない。
この世には実に様々な職業があり、多種多様の生活スタイルが
あります。その中で人はみんな、自分の仕事に打ち込み、
そこに自分の夢を託そうとしている。
(中略)
それぞれの仕事の内容は違うけれど、みんなに自分に
与えられた仕事の中で、さまざまな創意工夫をしている。
そうした創造の日々こそが「生きる」ということなのだと
思います。

日々一生懸命に創造しているもの。そこには優劣などは
ありません。

新しい理論を生み出した科学者の方が、
一般的なサラリーマンよりも価値があるということはない。
(中略)
主婦の人たちもまたそうです。一見するとその日常は
同じことの繰り返しに思えるかもしれません。
しかし実は、知らず知らずのうちに小さな創造を
繰り返しているもの。もっと言うなら、小さな創造が
あるからこそ、毎日の生活が成り立っている。
もし主婦の人たちが創造を止めてしまったら、
おそらく家庭は成り立たなくなってしまうでしょう。
毎朝お弁当をこしらえたり、毎日違うメニューを夕飯に
出したりと、そんな創造性は私にはありません。
さてそこで、こうした創造性の源になるものはなんなのか。
私は「意欲」であると思っています。
(中略)
人間の脳は、もともと生きると言う現場で進化を遂げてきた。
そして今もなお発達し続けているわけです。もしも何の意欲も
持たず、日々の創造を止めてしまったら、脳の発達も留まる
ことになるでしょう。そういう意味でも、意欲を持って
日々の暮らしを送ることこそが、最も大切なことなのです。
意欲のないところに創造性は芽生えない。そして創造性の
ないところに、感動というものはやってこないと私は思っています。

■大学教授の話はなぜつまらないのか
(中略)
最近は生涯教育というものが流行っていて、カルチャーセンター
などでも大学の先生が講義をするようになりました。中には
有意義な話をする先生もいますが、大抵は居眠りをしたく
なるような話ばかりです。
先日も吉本隆明さんがこんなことを言ってました。大学教授の
つまらない話を聞くよりも、講座を受けに来ているお年寄りの
話を聞く方が、よっぽど生涯教育になると。
全くその通りだと思います。
なぜ大学教授の話は面白くないのでしょう。それは、
あまりにも知識というものに固執しているからです。
もちろん基本的な知識というものは大切なものです。
しかし知識だけでは感動は生まれません。知識を身につけた上で、
それを使うことで感動は生まれる。

■日本車のデザインが劣る理由
(中略)
子供たちに教えるべきことは二つあります。一つには基礎的な
知識や体験。そしてもう一つは欲望と価値のもちたかです。
この両輪があってはじめて創造性が生まれてくる。
(中略)
欲望という言葉は悪いイメージでとらえられがちですが、
決してそんなことはありません。
人間は高い欲望を持つことで、考える力が養われ、
向上していくものです。

余談だけれど大島渚監督の息子さんたちが

出した書籍の言葉を思い出した。

君たちはなぜ怒らないのか」大島武・新 著(2014年)

仕事に貴賎はないが、人間に貴賎はある

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