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養老先生と高橋先生の解説から”情動”に触れてみた [新旧の価値観(仕事以上の仕事)]


情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2019/10/31
  • メディア: 単行本

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養老孟司


既存の概念見直し脳機能を考える から抜粋


主題は喜怒哀楽という言葉に代表される情動である。

脳には主として情動を担う部位がある。

たとえば大脳辺縁系

私のように古い教育を受けた者には、そういう知識がしっかりと入っている。


著者はそれをほぼ全面否定する。

そもそも喜怒哀楽、情動とはどういう基準で確定されるか。

顔の表情でわかる。ではそれを解析してみよう。

表情は顔面筋の動きで測定可能なはずである。

では怒りの場合に、どの筋肉がどのくらい動いているか、たとえば筋電図で調べてみよう。結論ははっきりしている。定まった結果が得られない。


さまざまなことをあらためて考え直す必要がある

著者はそれを試みる

従って、多くの概念をあらためて見直し、さらには新語を作りださなければならない

だから古典的な脳科学の教育を受けた人には、読みにくいだろうと思う。

古典的には常識になっていることを変えなければならない。

著者は学会で聴衆の一人を怒らせたという挿話を紹介する。

無理もないと思う。

常識を変えるのは簡単ではないからである。


新しい見方は、新しい用語を必要とする。

水は子どもでも知っている物質である。

しかし化学ではそれをHとOで記す。

HもOも日常とはなんの関係もない、その意味では未知の概念である。

HやOという未知の概念で、水という既知の物質を説明する。

既知を延長すればわかる。

それは知的怠惰である。

著者と訳者は、巻末に丁寧な解説資料を付している。

これを大いに参考にしてほしい。


脳科学という視点からの流石の考察を


養老先生はされている。


さらに、翻訳の難しさも指摘されているくらい


ただいま現在の日本語にすると


違和感があるのだろう。


新しすぎて今は理解できないものなのかもしれない。


訳者 あとがき


から抜粋


最初に、本書の二つの主張を端的に記しておく。

一つは、情動についての従来の見方を覆す、著者独自の「構成主義的理論」を説明すること。

二つ目は、その理論が人間の本性について新たな見方をもたらし、ひいては社会にも大きなインパクトを与えることだ。


情動、ひいては人間の本性についてのまったくの新たな見方を提起する本書の性格上、ややわかりづらい用語が使用されている。

もちろん読み進めれば理解できるように書かれてはいるが、その一助となるべく重要な用語のみに絞って読解の指針を紹介する。


・情動(emotion)ーーー「情動」という用語は、日本だろうが英語圏であろうが、著者間で一貫性があるようには見受けられない。

しかしこれまでの訳者の読書経験から言えば、主観的であるがゆえに本人の自己申告によってしか知り得ない経験として「感情」を、表情や、何らかの生理的な指標(たとえば心拍数など)によって客観的に(すなわち科学的に)測定可能な現象として「情動」をとらえている場合が多い。

本質主義を否定する著者がこの見方をとっていないことは本書冒頭から明らかになるが、著書本人にメールで問い合わせたところ、「慣例にしたがってそのように考えている科学者もいるが、自分はその見方をとらない」という回答があった。

その内容は以下の三つに要約される。


「情動」は、感情(おもに自律的な内受容感覚)とは異なり、身体と外界の相互作用をもとに構築された知覚(perception)である。


②前述の「知覚」は「意識」と同義で、無意識的であるような情動は存在しない


知覚の構築には、「気分の性質」「行動」「世界を経験するための手段(すなわち評価)」「自律神経系の変化」などが関与している。


ここで特筆すべきは、著者は情動に関して意識の介在を前提としており、情動の構築には「概念」が必要だという本書の記述からも、情動構築の基盤の一つとして認知作用を据えていると読み解けることである。


この他、出てくる用語として、


概念(concept)とインスタンス(instance)、


気分(affect)、表情(facial expression)と


相貌(facial configuration)、


感情的ニッチ(affective niche)、縮重(degeneracy)、


構成主義(constructionism)なども解説されている。


高橋洋先生の解説が、これまたシャープで深い。


ものすごい知識量から絞り出されているようで


爽快だけれども、若干読んでいて怖さを感じた。


肝心のリサ博士の内容だけど一言で言うと


浅学非才な自分では、あまり理解できない。


そんな輩に向けても高い文章力からの技術で


平易に書かれているのは分かるし


興味深い内容であることは間違いないのだけれども。


最大の争点、自分にとってってことですが


「感情」とどう違うのか、はなんとなく分かった事が。


身体性を伴う意識で構築されているもの、


とでもいうのか。無意識の領域では一切ないのだね。


フロイトやユング、岸田秀・河合隼雄先生を


読むととさらに分かるのかもしれない。


「意識」と「無意識」は自分にとって


かなり興味深いテーマで、音楽とか芸術って


そことのコネクトだったりするからなあ、と


情動のなんたるかまで辿り着けずにいることに


気づけない愚かというワードは自分のために


あるのかもしれないと思いながらも


GWという世間の流れに乗っての休日


風呂掃除とトイレ掃除して参ります。


その前に朝ごはんですな。


 


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