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読まない力:養老孟司著(2009年) [’23年以前の”新旧の価値観”]


読まない力 (PHP新書)

読まない力 (PHP新書)

  • 作者: 養老 孟司
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/09/12
  • メディア: Kindle版

養老先生の書籍は何冊も読み、


こちらでもご紹介賜っておりますが、


この本ほど付箋を挟んだ本は、


今の所ない。


どれを取り上げるか迷う所だけど、


一つならば、こちらを引用でございます。


広島・長崎の意味(2007年10月)

 

(中略)

多くの人は忘れていると思うが、東海村で事故があり、関係者が何人か、入院加療後に死んだ。

その一人の病状を私は詳しく知る機会があった。

担当の医師が私の後輩で、説明してくれたからである。

その医師がなぜ私に患者の病状を説明したか。

しなければ、いられなかったからである。

もちろん守秘義務があろうから、単純に公にはできない。

それなら医師ですら、耐え切れない思いがあったのである。

結論をいえば、人間には他人をああいう眼に遭わせていいのかというのが、原爆の倫理問題である。

私はそう思っている。

その話題が出ないのは、人々が意外にそれを知らないし、知ろうとしないからであろう。

広島・長崎を知っている日本人ですらそうなのだから、世界の人のことは簡単に想像できる。

はっきりいうなら「わかっちゃいない」のである。

人間はどうせ死ぬ。それならどう死んだって、同じじゃないか。

それをいうなら、誰でも死ぬ。それならどう生きたっていいのか。

ヒロシマ、ナガサキがあったおかげで、じつはあのあと核戦争がなかったのだと私は思っている。

その意味でなら、あの犠牲もムダではなかったのかもしれない。

もうそれを忘れかけているらしいから、老人としては一言、言い遺しておきたいと思った。

核爆弾の使用は全てテロだ。国連はそう決議すべきであろう。

禁止という言葉には具体性がない。つねに例外が生じてしまうからである。

殺人と戦争の関係がそうであろう。


余談が思いつかないほど、


これ以上、追記することはございません


あえて無粋ながらいうなら、


天才の仕事は時代を越える。


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