①槌田敦先生の論考から”違和感”と”現実”を体感 [新旧の価値観(仕事以上の仕事)]
脱原発の大義: 地域破壊の歴史に終止符を (農文協ブックレット 5)
- 出版社/メーカー: 農山漁村文化協会
- 発売日: 2012/05/01
- メディア: 単行本
弱者の視点・エントロピー経済学で考える
元理化学研究所研究員 前名城大学経済学部教授
槌田敦
から抜粋
強者(富者)は、安い電力を口実にして原発を建設し、経済発展を口実にして自由貿易を押し付け、強者の利益をさらに拡大しようとしている。
そして現代経済学は、この強者の欲望を支える道具となっている。
この強者のための現代経済学をふたたび、アダム・スミスの経済学に戻し、福祉のための学問、つまり弱者のためのエントロピー経済学を構築する。
そのため、まず、原発と自由貿易という現在の暴力装置のウソを暴き出すことから始める。
1.これは「事故」を超えて「事件」である
【福島原発事故は、これまでの原発事故と本質的に異なる】
から抜粋
スリーマイル島原発事故(1979年)の原因は、「逃し弁開閉の誤信号」だった。
弁が開いているのに、閉じていると表示され、原子炉の冷却水が流出していることに運転員は気づかなかったのである。
チェルノブイリ原発事故(1968年)は、「制御棒の設計ミス」だった。
原子炉を緊急停止しようとして緊急制御防を入れたら、かえって核反応が進み、核爆発となってしまったのである。
今回の福島事故は、このような単純なミスで起こったのではない。
事故の原因は東電による安全対策の手抜きだった。
【大災害となった福島原発事故】
から
この福島事故で、東京電力は大量の放射能を環境にばらまき、強制避難で45人(NHKによれば68人という)を死なせ、数人を自殺させ、福島県民の心身を傷害した。
それだけではなく、BEIRーVII報告(アメリカ科学アカデミー2005年6月29日)によれば、100人が生涯において平均して100ミリシーベルト被曝すると1人はがんになり、またその半分はがん死する。
したがって、生涯被曝が50ミリシーベルト増と予想される福島県民200万人の場合、今回の事故によって1万人はがんになり、その半分5000人はがん死させられることになる。
【今後も安全費用の節約による原発事故継続の心配】
から抜粋
原発では事故があるたびに安全費用の追加が繰り返され、原発の単価はますます高くなっている。
その原因は、放射能という毒物が科学技術では消滅できないからである。
そこで、この放射能毒物の閉じ込めだけで対策することになる。
しかし、放射能はこの閉じ込めもすり抜けて、漏れ出してしまう。
そこでまた別の閉じ込め作業の追加が必要となる。
これの繰り返しで、原発の費用は増えていく。
これが、原発の費用が火力の費用よりも高くなる理由である。
放射能は、もはや科学技術の手に負えないことを認めなければならない。
原発で儲けようとして裏目に出て、損ばかり増えることになった。
経済学は、この原発の現状を認め、対策不可能な放射能を生み出す原発を廃止する側に立たなければならない。
ところが、それを許さない勢力が存在する。
原発でメシを食っている人たちである。
この人たちは直接電力会社に雇われている訳ではない。
下請けの下請けの…という形になっていて、多くの企業が原発にたかっている。
この連中が、原発停止では職を失うと騒いでいて、これだけの被害があったのに、一部の町長や町会議員に原発再開を言わせているのである。
【事故原発の現状説明もウソだらけ】
から抜粋
ところで、この東電は、安全対策の手抜きをごまかすために、原子力・保安院とともに話題をすり替えてきた。
たとえば「炉心溶融」がそれで、マスコミはまんまとひっかかった。
炉心溶融(メルトダウン)とは、融点2800℃の酸化ウラン燃料が溶融することを言う。
スリーマイル島原発のように、完全な空焚きになればそのような事態になるが、福島事故では、原子炉の底には水があり、燃料を支えている構造材の鉄(融点1500℃程度)が溶けて、燃料と共に水中に崩れ落ちて冷えたと考えられる。
構造材の融解はウラン燃料そのものの溶融ではないから炉心溶融ではない。
それから、4つの原子炉建屋ですべて水素爆発したことになっている。
しかし、水素爆発は1号機だけで、2号機は爆発そのものがなかった。
3号機では1986年のチェルノブイリ型爆発である。
水素爆発では黒い煙にはならないし、プルトニウム241(半減期13年)が環境に飛び散ることもない。
4号機は蓋の開いた原子炉から水蒸気が激しく噴き上げ、それが8月になっても続いていたから、1999年のJCOの臨界事故と同様の核暴走があったと考えられる。
この原子炉には燃料が入っていないとされているが、ウソらしい。
【放射性廃棄物はどのようにするのか】
から抜粋
原発推進の経済学者たちは、放射性廃棄物の問題に口を閉ざしてきた。
それにもかかわらず、彼らは、今でも、原発で電気を得て、経済成長しようと叫んでいる。
私は、放射性廃棄物の問題について、子孫に対する4つの犯罪を整理した。
①処理・処分の困難な毒物を製造する行為、
②毒物を取り扱い困難にする行為、
③人間集団の遺伝情報を狂わせる行為、
④子孫に毒物管理を強制する行為
(『エネルギーと環境 原発安楽死のすすめ』1993年、183ページ)。
けれども、原発推進の経済学者たちを反省させるには、私の力は足りなかった。
槌田先生の指摘が正しいとすると
今まで大手既成メディアで
報道されていることとは
違和感があるなあ、という実感。
福島原発事故以前から、槌田先生は警鐘が
無視され続けている現状。
権力は自分たちでは手を下さずに
自粛警察と化している人々が動いている
いびつな構造。
なんかテーマが同じだからか
池田清彦先生に似てきてしまったな。
(どこがだよ!)
何を支持するのが良いのか、は
自分で調べてより正確な”知識”に裏付けされた
”考え”なのだろうと思った久々の日曜早朝読書
梅茶をすすりながらそろそろ朝食をとり
風呂とトイレ掃除しないと。
先週サボっておりますから。