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2冊からジョン・レノンをレポート [’23年以前の”新旧の価値観”]

ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド Instamatic Karma


ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド Instamatic Karma

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/11/15
  • メディア: 単行本

はじめに

思いがけない形で始まったジョンとの関係


から抜粋


ジョン・レノンと私が一緒に過ごした時期は、今では「失われた週末(ロスト・ウィークエンド)」という呼び名で知られています。

驚いたことに、随分と多くの人が、その期間が文字どおり一度の週末だけだったと思っているようです。

実際には、ジョンと私が公の場で一緒だったのは1年半になりますし、それ以外の時期も含めたジョンとの関わりは1970年12月から1980年12月まで、実に10年にも及んだのです。


10年間アシスタントとして働いていたってのは多くは知らないだろう。


メイさんは、毎日仕事で忙しく、ジャッキー・オナシスや


アンディ・ウォーホールに電話したりと驚きの連続だったと。


しかし最大の驚きは1973年の夏にやってきました。

その頃私はヨーコの新作『空間の感触』のプロモーションの準備に入っており、並行してジョンのアルバム『マインド・ゲームス』のレコーディングも始まっていました。

ある日の朝早く、レノン夫妻の住むダコタ・ハウスの中にあった私の仕事場に、ヨーコが入ってきました。

ヨーコは私に、ジョンと「うまくいっていない」ことを打ち明けました。

ジョンとヨーコのまわりで仕事をする者はみな、二人の間が少しピリピリしていることに気が付いていたので、そのこと自体はさほど大きな驚きではありません。

ヨーコは続けて、ジョンは誰かほかの人と一緒に暮らすことになるだろう、その相手は

「ジョンをうまく扱うことができる人」
であってほしい、といいました。

衝撃的な何かが起こる予感がしたのはその時でした。

まず最初によぎったのは、

「二人が別れたら私は今の仕事を失ってしまうの?」

ということでした。

ヨーコはさらに続けました。

「あなた、ボーイフレンドいないわよね」。

私はペンとメモ用紙を落としてしました。

聞き間違いではないかしら?

私はヨーコに、こちらの一方的な勘違いかもしれないけれど、私はジョンに対して特別な感情は抱いていません、と念を押しました。

ヨーコは、それは承知だと言いながらも話をやめませんでした。

「あなたがジョンと一緒になるといいと思うの」

私は呆然としてしました。

お断りします、私にはできませんと何度もいいました。

でもヨーコはすっかり心を決めているようでした。

「ジョンから誘われたら断らないようにね!」

というヨーコの言葉には、単なる提案以上の強さが込められていました。


どうしてもジョン目線のストーリーの方が


多くの人の興味をひいてしまう為


メイさんのことは「失われた週末」を演出する


一部になってしまうのだよね。


自分もこの本を読むまで10年間働いていたってのは


知らなかった。


アシスタントを辞めた後はご結婚もされ


お子様もいるようで。


 


この頃を知る手掛かりとして


映画『ジョン・レノン、ニュー・ヨーク(2011)』


を観て思うこと、メイさんたち関係者が「失われた週末」の


コメントをしているけど


今まで作られたジョン・レノン・ストーリーを踏襲されている。


 


この頃のジョンって単純にすごくかっこいい。


この時期制作の『ウォールズ&ブリッジズ』も


ものすごいアルバムだと思う。


 


しかし映画を久々に観て思ったのは


本当にジョンはこの通りの人生だったのか?


作られた虚像で、そうなってほしいという


大衆の思惑があるのではないかと。


おおむね事実は映画の通りなのだろうけれど、


実際そんなざっくりしたものじゃないよな人生って。


自分の経年劣化とともに滋味深く考察。


 


さらに極め付けこの本の映画版のような


The Lost Weekend: A Love Story』(2023)が


あるようで、未見ですが予告編があり、


ほぼ推察できるから自分は見なくてもいいかなと。


(Amazonプライムにあるなら観てみたい)


 


しかしジョン・レノンに限らず


その人の映画や本を買ってストーリーを作り上げることは


なにか間違った虚像に自分も加担でしていることに


なるのではなかろうかと思うこと多し。


 


有名スターは実はかなりの部分で


可哀想なのではなかろうか、なんて余計なことに思い巡らす。


それはこの際一旦置いておいて。


 


ロスト・ウィークエンドの後、


ジョンが元の鞘に戻ったのは周知の事実。


ショーンが生まれ幸せな生活を送ってからの


衝撃のカムバックを果たす。


 


ヨーコに飼い慣らされたっていう世評もあるようだけど


キンキラキンの超然としたスターにはなれなかっただろうし


ジョン自身興味なかっただろうと思う。


あやうくなりそうだったよ、ヨーコ、サンクスと思っていたかも。


 


普通の感性、市井の感覚で日常生活を送っている


40歳男性が背景にありつつ、


ジョンが本気のすざまじいアルバムを最後に作った。


 


WOMAN』という曲が昔から自分は大好きなのだけど


簡単にいうと女性讃歌で、自分も共感するところ大で


ジョンにとってはメイのことも含まれてるのだろうな。


 


余談だけど、その頃のジョンの発言は


音声や映像も多少あるけれど、それよりも


自分はこの本が好きで今も


大切に持っておりまして、それは


”祝福”の瞬間ばかりを集めた


ジョン&ヨーコに限らない写真集で


”あとがき”のようなところからの


ヨーコさんの言葉からが興味深かいのです。


二人の素の瞬間が垣間見れるような


穏やかな雰囲気が滲み出ている気がする。


 



ジョン・レノン 祝福―グロー・オールド・ウィズ・ミー (ポケット・オラクル)

ジョン・レノン 祝福―グロー・オールド・ウィズ・ミー (ポケット・オラクル)

  • 出版社/メーカー: 三五館
  • 発売日: 1996/04/03
  • メディア: 単行本


夫婦の関係ってものは、10年すぎると

もっとよくなるんだってこと

みんなに知らせてあげなくちゃね」と

ジョンが言っていたのを思い出します。

 

ふつう若い人たちは、10年も一緒にいたら

飽き飽きしちゃうんじゃないか、と思うでしょう。

それが、10年後になんとも言えない

夫婦の味が出てきた。これは大発見だ。

7年目の危険信号くらいで

簡単にあきらめちゃう若い人たちは、この味を

永遠に経験できないわけだ。

これは知らせなくては、と

いかにもジョンらしい心の配り方だと

そのとき思いました。

 

そういう気持ちもあって

グロー・オールド・ウィズ・ミー』は

書かれたのだと思います。

今アメリカでは

家族制度の崩壊という

深刻な現象があらわれています。

歴史において、とかく先走りするアメリカの

この現象が日本で起こらなければいいな

と思っています。

 

努力して保った関係は

手をかけて作ったワインのように

10年後あたりから

1年ごとに良くなるものですよ。

 

オノ・ヨーコ

ニューヨーク 1996年


ジョン生きていれば、今年で84歳。


引退していた気がするけど、老年になった


ジョンのロックがファッションが、メッセージが


聞きたかったよと思った


家庭内で流行っている


謎の咳が出る休日、日本からのレポートでした。


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