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佐藤・斎藤両先生の50代本から”時間”を考察 [’23年以前の”新旧の価値観”]

唐突ですが最近頓に感じることで


ございましてそれは、生きる上で


一番大切なのは日常生活をキープすること、


そのための努力、なのですけれども、


その中でも最も意識したいことは


”時間”でございましてそれを考察するのに


余りある書を読んでみた。


といっても単に読んだだけで、


それで”分かった”って事じゃないすから、


ひとえに考える”よすが”にさせて


いただいたってことでございます。



50代からの人生戦略 (青春新書インテリジェンス)

50代からの人生戦略 (青春新書インテリジェンス)

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2020/01/07
  • メディア: 新書

第1章50代からの「残り時間」

時間をコントロールしようとしすぎない から抜粋


時間を管理するのと同時に、「時間は完全にはコントロールできない」と認識しておくことも大切です。

どんなに綿密に将来のプランを立てても、計画通りに進むことはまずありません。

不測の事態で予定の変更を迫られる、想定外の時間をとられるのが常です。


キリスト教では、人の一生は神によってあらかじめ定められていると考えます。

ですから、人間が限りある知恵でいくら未来を計画しても、神の意志によって変えられてしまう。

『梟(ふくろう)の城』という司馬遼太郎の小説があります。


豊臣秀吉の暗殺を狙う忍者が主人公なのですが、若いときは忍者として縦横無尽に活躍する。

しかし、天下の支配者の命を狙うという忍者としての務めを果たしたあとの晩年は、山中で連れ合いとひっそりと暮らし、ささやかな世界で生きるという話です。


いまの時代でも、大企業でバリバリ働いていたような人物が早期リタイアして、田舎で農業をしながら奥さんとひっそり暮らす、というようなことがあります。

一見すると小さな世界へ逃げ込んだように見えるかもしれません。

しかしその限定された世界に、それまで想像していなかった幸せを発見する。

むしろ、大企業で働いていた自分は、世の中の尺度に踊らされ、自分を見失っていただけかもしれない…。


功名心のある若いときは見向きもしなかった生き方かもしれませんが、晩年になってくると、ささやかな暮らしの素晴らしさや奥深さに気づく。

中年期以降の生活は、若いころには、まったく想定していなかったものになることもあるのです。


私自身の人生がまさにそうでした。

それまで外交官としてロシアとの交渉の最前線に立ち、まさに新たな時代を切り開く寸前までいっていた。

それが急転直下、犯罪者として逮捕、起訴され、512日間勾留されたあげく外務省を追われたのですから。


人生にはこのようなことが往々にして起こる。

もちろん特捜検察によって逮捕されるなどということは稀でしょうが、転機となるような出来事は人それぞれ形を変えて起こるもの。

地震や台風などの甚大な被害で、ある日突然、多くを失ってしまう人もいます。


人生における時間やイベントを完全にコントロールしようとすると、その挫折が致命的になり、落ち込んでうつ病になってしまうこともあります。

もちろん人生設計は大事ですが、同時に不可知なもの、予期せぬことが起こるのが人生だと割り切ることも必要です。


「流れる時間」と「感じる時間」


2002年、私は鈴木宗男氏に絡む疑惑に連座する形で特捜検察に逮捕され、外交の大きな舞台からははじかれました。

しかし、それによって作家というもう一つの舞台に立つことになりました。

これにより、私の人生は潮目が劇的に変わります。

それまでまったく想像もしていなかったことです。


人は、自分が立とうと思っていなかった舞台に突然立たされる時がある。

キリスト教徒である私は、やはりそこに神の意志をみます。

もちろん神の存在を信じない人もいるでしょうが、それでも人には計り知れない流れ、コントロールできない流れがあることを多くの人が実感しているのではないでしょうか。


こうした経験を経て、私が大切だと思う人生に対する姿勢は、「急ぎつつ待つ」ということ。

人生には時があり、タイミングがある。


一方でそのタイミングが訪れたときは、”急いで”それをとらえなければならない。

人生のチャンスをチャンスとして認識し、その尻尾を捕まえなければなりません。

無自覚にすごしていると、チャンスはすぐにどこかに消え去ってしまうのです。


ある程度までは運命に身を委ねる。

しかし”そのとき”が来たら急いでそれに応える。

時間の使い方の極意と言えるのが、この”時を捕まえる”ということだと思います。

それには、普段から時間というものについて、考えておく必要があるのです。


古代キリスト教の神学者アウグスティヌスは『告白』という著書の中で、時間について、

「私はそれについて尋ねられないとき、時間が何かを知っている。尋ねられるとき、知らない」

と書きました。時間とは何か?


時間には、時の針の動きで示される「客観的な時間」と、自分がどう体験したかによる「主観的な時間」という二種類があります。

たとえば50代にもなると、月日がたつのが異常に早く感じられる。

歳をとると、1年が風のようにあっという間に過ぎてしまうようになってきます。


「好きな人とすごす時間」はあっという間にすぎるものの、「イヤな人物と一緒にいる時間」はとても長く感じる。


このように、時間は”主観”で長さが変わるものです。

10歳の子どもにとって1年は10分の1ですが、50歳の人にとっては50分の1。

つまり歳をとると分母が増える分、時間が短く感じられるのでしょう。


”終わり”を意識して生きる から


西洋の時間概念の根底にはあるのは、時間は有限であり、終わりがあるという考え方です。


それに対して、日本などの東洋では仏教的な時間解釈が中心です。

すなわち輪廻転生のように永遠に時間が繰り返される。

ルース・ベネディクトが著書『菊と刀』で、日本人の時間感覚には目的論が抜け落ちていると指摘したのにはそうした背景があるのです。


行動に目的が伴っていなくても、とにかく一生懸命にがんばる、あげくに心身を病んでしまったりするのには、そんな時間概念が関係しているのかもしれません。

時間の本質を見極めること。

時間とは何かをとらえ直すこと。

自分のなかで時間に対する認識が変わることで、生き方自体が変わってくることもあるのです。


第6章 逆境でこそ時の流れを見定める から


人生の壁や転換点、逆境に直面したとき、キリスト教に限らず、宗教書や哲学書をひもとくことで、救いを得られることがあります。

聖書に違和感があるなら仏典でもいいし、孔子の教えである論語でもいい。

古典には、何千年と変わらない人間の普遍的な真理が説かれています。


ちなみに、仏教の考え方は基本的に「因果論」です。

原因があって結果がある。

だから幸福も不幸もそれまで本人が積んできた行いが”業”となり、その報いがいま現れていると考えます。

ですから仏教の考え方には、自分の行い次第で運命を変えられるという”自力の精神”がどこかにある。


一方、キリスト教では神の国に入る人、入らない人は最初から神によって決められています。

つまり「決定論」です。

人間は運命を決められない。

だから、運命の全ては神に委ねるという他力の考え方です。


これからの人生を前向きにチャレンジしたいと考えている人なら、仏教の因果論を信じるかもしれません。

今大変な逆境に陥りどん底にあえいでいる人は、キリスト教的な決定論を信じることで救いが得られるかもしれません。


私自身、鈴木宗男事件に連座する形で逮捕・勾留され、外務省を辞めることになって、一気に人生のどん底へ突き落とされたわけですが、そんなときに大きな支えになったのが旧約聖書の「コヘレトの言葉」です。


何事にも時があり

天の下の出来事にはすべて定められた時がある。

生まれる時、死ぬ時

植える時、植えたものを抜く時

殺す時、癒す時

破壊する時、建てる時

泣く時、笑う時

嘆く時、踊る時

石を放つ時、石を集める時

抱擁の時、抱擁を遠ざける時

求める時、失う時

保つ時、放つ時

裂く時、縫う時

黙する時、語る時

愛する時、憎む時

戦いの時、平和の時。

人が労苦してみたところで何になろう。

私は、神が人の子らにお与えになった務めを見極めた。

神は全てを時宜(じぎ)にかなうように造り、

また、永遠を思う心を人に与えられる。

それでもなお、神のなさる業を始めから

終わりまで見極めることは許されていない。

(コヘレトの言葉3章1節から11節)


私が事件の渦中にいるとき、同志社大学神学部研究科で指導を受けた恩師の緒方純雄先生が、直筆の丁寧な文字でこの言葉を書いて私に送ってくれました。

緒方先生にお礼の電話をすると「いまはつらくて大変だろうが、時の流れは必ず変わる。その時を正しく見定めることが、佐藤くんにはできる」と励ましていただきました。


緒方先生から送っていただいたコヘレトの言葉は、私の座右の銘となっています。


佐藤先生の書では、壮絶な人生の悲喜交々


大切な人からの支援あっての復活、さらに


西洋での有限の”時間”、東洋の繰り返される”時間”


の事をご指摘される。


併せて斎藤孝先生の書も読んでみた。



55歳からの時間管理術 「折り返し後」の生き方のコツ (NHK出版新書)

55歳からの時間管理術 「折り返し後」の生き方のコツ (NHK出版新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2019/05/10
  • メディア: Kindle版

第4章 55歳からの時間管理術②

好きなだけ趣味と教養に没頭する から抜粋


水木しげるさんの幸せになるための知恵55歳からは、生きている意味を実感することがテーマになります。

この世に生きてきて良かったと思える瞬間を増やしていくことが大事です。

そのためには、できるだけ〝力のあるもの〟に出会うこと


水木しげるさんは、

「何十年にもわたって世界中の幸福な人、不幸な人を観察してきた体験から見つけ出した、幸せになるための知恵」として、「幸福の七カ条」をまとめています。


第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。

第二条 しないではいられないことをし続けなさい。

第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追求すべし。

第四条 好きの力を信じる。

第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。

第六条 なまけものになりなさい。

第七条 目に見えない世界を信じる。

『水木サンの幸福論』2007年


これらはすべて「好奇心を持ちなさい」ということだと思います。

水木さんにとって、その好奇心の対象の最たるものが妖怪だったのです。


第5章 55歳からの時間管理術③


雑談力を磨いて社交を楽しむ


レビューサイトは社交サロン から抜粋


私自身はレビューを書き込むことはありません。

こうして見ているだけで、私の精神に充足がもたらされます。

レビューを見る深夜は、私にとってたいへん重要な時間です。


私は各サイトを覗いていて、いろいろなレビューを見て回るのですが、これはネットサーフィンをしているというよりは、サロンに顔を出している感覚といった方が近いでしょう。

私にとってインターネット上のレビューサイトは、もはや社交の場になっています。

社交とは、「そうだよね!」という気持ちを伝え合える、同じ趣味をもった仲間を見つけることでもあります。


その中には外国人の方もいます。

英語は少しでも理解できれば、その国の人特有の考え方を知ることもできるでしょう。

素晴らしく、孤独にならない空間が、すぐ目の前に広がっているのです。


主要参考文献 から抜粋


・荒木繁、池田廣司、山本吉左右編注

『幸若舞3 敦盛・夜討曽我』平凡社東洋文庫、1983年

・ハイデガー著、熊野純彦訳『存在と時間』岩波文庫、2013年

・齋藤孝訳『論語』ちくま文庫、2016年

・西郷隆盛著、山田済斎編「南洲翁遺訓」

 『西郷南洲遺訓附手抄言志録及遺文』岩波文庫、1991年

・デカルト著、谷川多佳子訳『方法序説』岩波文庫、1997年

・安藤貞雄訳『ラッセル幸福論』岩波文庫、1991年

・ニーチェ著、手塚富雄訳『ツァラトゥストラ』

 中公文庫プレミアム、2018年

・俵万智『サラダ記念日新装版』河出書房新社、2016年

・黒田夏子『abさんご』文藝春秋、2013年

・森敦『月山』河出書房新社、1974年

・谷崎潤一郎「幇間」『刺青・秘密』新潮文庫、1969年

・ドストエフスキー著、亀山郁夫訳『罪と罰』

 光文社古典新訳文庫、2008年

・小林勝人訳注『列子』岩波文庫、1987年

・宮沢賢治「虔十公園林」『新編風の又三郎』

 新潮文庫、1989年

・宮沢賢治「雨ニモマケズ」『新編宮沢賢治詩集』

 新潮文庫、1991年

・片田珠美『無差別殺人の精神分析』

 新潮選書、2009年

・福沢諭吉『学問のすゝめ』岩波文庫、1978年

・福澤諭吉著、斎藤孝訳『学問のすすめ現代語訳』

 ちくま新書、2009年

・トマ・ピケティ著、山形浩生、守岡桜、森本正史訳

 『21世紀の資本』みすず書房、2014年

・梶原正昭、山下宏明校注『平家物語』岩波文庫、1999年

・古川薫全訳注「留魂録」『吉田松陰留魂録』

 講談社学術文庫、2002年

・美輪明宏、齋藤孝『人生讃歌──

 愉しく自由に美しく、又のびやかに』大和書房、2004年

・水木しげる『水木サンの幸福論』角川文庫、2007年

・小林弘幸『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』

 サンマーク出版、2011年

・村上和雄『スイッチ・オンの生き方』致知出版社、2011年

・西尾実、安良岡康作校注『新訂徒然草』岩波文庫、1985年

・安田登『疲れない体をつくる「和」の身体作法──

 能に学ぶ深層筋エクササイズ』祥伝社黄金文庫、2011年

・夏目漱石『草枕』岩波文庫、1929年

・奥田昌子『欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」

 ──科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防』

 ブルーバックス、2016年

・三好行雄編『漱石書簡集』岩波文庫、1990年

・下村湖人『論語物語』講談社学術文庫、1981年

・中島敦「弟子」『李陵・山月記』新潮文庫、2003年

・中村元訳『ブッダ最後の旅──大パリニッバーナ経』

 岩波文庫、1980年

・中村元訳『ブッダの真理のことば・感興のことば』

 岩波文庫、1978年

・尾形仂『座の文学──連衆心と俳諧の成立』

 講談社学術文庫、1997年

・貝原益軒著、石川謙校訂『養生訓・和俗童子訓』

 岩波文庫、1961年

・ドナルド・キーン『私が日本人になった理由──

 日本語に魅せられて』PHP研究所、2013年

・齋藤孝『成熟力──「45歳から」を悔いなく

 生きる人生のリスタート!』パブラボ、2013年

・齋藤孝『退屈力』文春新書、2008年

・齋藤孝『雑談力が上がる話し方──

 30秒でうちとける会話のルール』

 ダイヤモンド社、2010年


斎藤先生の参考文献の量がすごすぎて


取捨選択・吟味している時間が


ないのでございますが、それはそれとして


今日もブックオフで10冊以上も購入してしまい


そちらはそちらで読む”時間”が本当に


ほしいのでございました。


 


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