ビジネスに「戦略」なんていらない:平川克美著(2008年) [’23年以前の”新旧の価値観”]
平川さんの書籍、3連打。
これが一番読みたかった。
自戒の意味も込め、気になる箇所を抜粋でございます。
ビジネスとは損得勘定で物事を考えることであり、正義や倫理、道徳を指標とするわけではないということには全面的に同意を与えたいと思っています。
ビジネスはどこまでいってもお金儲けを目的とした活動です。
ただ、このお金儲けは必ず商品を迂回して達成されるということが重要なことだと思うのです。
つまりビジネスは迂回そのものなのです。
そして、その迂回の仕方の中に、ビジネスのつらさも面白さも潜んでいるとわたしは思います。
わたしが
「グローバリズム的な思考」
に最も違和感を感じるのは、そこではこの迂回は忌避すべきもの、無駄なものだと考えられているらしいことにあります。
ビジネスは戦争であるという考え方がある一方で、ビジネスは友好的なコミュニケーションであるという考え方もまた存在します。
昨今は前者の考え方が支配的であり、それゆえ
「勝ち負け」「戦略」
といった攻撃的ワーディングでビジネスが語られることが多くなりました。
いったい、いつからビジネスが「戦争」になったのでしょうか。
わたしの経験からいっても、モノの交換から始まって高度消費資本主義の現在に至るまでの「商取引」の原理からいっても、ビジネスはモノを媒介とする平和的なコミュニケーションであり、戦争のアナロジーで語れるようなものはないはずです。
それでも、書店には「戦略本」が並び、雑誌には「戦国武将に学ぶ」といった類の記事が頻繁に登場します。
会社でも
「遊びじゃねえんだぞ」とか
「これは戦争なんだぞこのヤロー」
といった罵声を好んで使う人がいます。
1995年くらいからこっち、新聞や雑誌などで
「勝ち組」とか
「負け組」という活字がやたら目につくようになりました。
わたしはビジネスを「勝ち負け」というタームで語る知性の持ち主をビジネスマンとしてはいっさい信用しないことにしています。
高度経済成長を続けている間に、ビジネスが社会の限られたリソースの奪い合いとして認識され、会社をその収益獲得機関として考えるようなビジネス感が支配的になってきました。
奪い合いであれば、その最終形態は戦争です。
多くのビジネスを戦争のアナロジーで語りたがる理由は、戦争の前では全てのプロセス、戦術、戦略は「勝つか負けるか」という結果に奉仕するためだけの意味しか持たなくなり、ビジネスをそのように考えると単純でわかりやすいゲームになるからでしょう。
結果だけが重要で、全てのプロセスは何の意味もない、無駄な、なくても良い思い出したくもないものであるような世界観。
しかし、これではビジネスがかわいそうです。
わたしは、ビジネスを勝つか負けるかといった闘争の原理で語ることがいかにつまらない信憑によっているのか、それがいかに不毛なことであるのかということを解き明かしながら、それとは全く異なる考え方(実は最も自然でまっとうな考え方なのですが)を提示したいと思ってきました。
ひとことで言ってしまえば、お客さんと向き合って、喜んでもらえるという交換の基本を忘れないようにしようよ、ビジネスの課題は、ビジネスの主体がお客さんと何をどのように交換したか、その結果、主体の側に何が残り、お客さんの側に何が残ったのかということの中にあるはずだということです。
そのときに、キャッシュ、商品、サービスといった眼に見えるものと同時に、信用、ブランド、誠意といった眼に見えないものに着目したとき、ビジネスを語る文脈は全く違ったものになるはずです。
わたしたちに今必要とされるのは、生起する問題を既知に結びつける専門的、分析的、事実確認的な知性ではなく、新しい事態に対応して自ら未来を切り拓いてゆく汎通的、統合的、遂行的な知性であると思っています。
ひとことで言うなら、自分の頭で考える力を養うということです。
自分もよくやってたし、やらされてたけど、
時間の都合上、パワポのテンプレを使って、
見事に同じようなビジネスプランを
作ってくる輩たちを冷笑されている。
お金を払う価値がないとでも言わんばかりに。
また、「過去の成功は参考にならない」、
さらにマーケターの三種の神器ともいえる
「マズローの人間の欲求5段階」について
■1生理的欲求
■2安全と安定の欲求
■3愛情と所属の欲求
■4承認と尊敬の欲求
■5自己実現欲求
わたしには、マズローの五段階説では三段階目の愛情とその次の段階の尊敬との間に大きな径庭(けいてい=へだたり)が広がっているように思えるのです。
「幻想の領域」と切り捨てられています。
うへえ、お見それいたしました。
ビジネスにマズローは無理が
あるってことなんでしょうかね。
欲求5段階自体は、
すごいフレームワークなんだろうけれど。
この書籍を会社員時代に
読まなくてよかった&
異なる業界にいる今も、
無縁とは思えない。
いや今だからこそ響くものがある。
Face To Faceの仕事の多くは
共通するのではないだろか。
余談だけれど、名前は忘れてしまって恐縮ですが、
どこかの僧侶さんの書いた書籍でも
「マズロー」は嫌いだって書いてたな。
「仏教」とも相容れないよな、
「煩悩」の極みだもの。
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