SSブログ

レコーディングスタジオの伝説 2009年8月20日 著者: ジムコーガン、 ウィリアムクラーク [’23年以前の”新旧の価値観”]

◆サンセットスタジオ レイマンザレク

私の記憶だとコントロールルームで聞いたプレイバックは
とにかくしっくりこなかった。
いかにも「サイケデリックしてます」みたいな。
ストレートさが不足してた。
流石にブルースもこれじゃダメだと分かったらしい。
「なんとかしたい、一晩時間くれ」と言ってきた。
ブルースは徹夜で作業を続け、次の日、私たちが戻ってくると
すぐさま「再生」のボタンを押した。
するとそこから聞こえてきたのが、ドアーズのサウンドだったんだ。
その瞬間から、私たちは二度と振り返らなかった。

ブルースボトニック

私はあそこに住んでいた。他にやることなんて何一つなかったから。
あの仕事を始めると他のことは一切目に入らなくなった。
朝の8時からランチタイムまでは
マイダス・マフラー(子供番組?)のコマーシャル。
そして昼食が終わったらトウッティの子供向けのアルバム。
で、夜になるとロックンロール。午後3時か4時ごろに仕上げると、
カウチで眠り、スタジオのシャワーを浴びまた同じ1日を繰り返す。
それでぜんぜんOK、楽しくってしょうがなかった、
そんな生活が何年も続いた。

ドアーズの1stアルバムは6日で仕上げた。
ドアーズは当時、ウィスキーに出ていた。
クラブのライブが終わるとこっちにきていた。
演奏をただ録るだけでよかった。オーヴァーダビングは歌を
ところどことダブるにしただけ。
あと、ベースもオーバーダブした。セッションマンのラリーネクテルに、
レイのベースパートをなぞってもらった。でもそれ以外は一切やってない。
ファーストは全曲ライブだ。それが常軌を逸し出したのはセカンド、
8トラックになってから。

ポップレコードの仕事をあまりしなくなった理由の一つに、
とにかく疲れてしまうこと。
2、3週間でできるはずのアルバムが11ヶ月も
かかったりするとやる気が失せてしまうんだ。
レコーディングは楽しくなけれりゃ、というのが私の信条だからね。
やってる最中はもちろんだけど終わった時も、
その仕事をしている理由を見失うようなことがあってはいけないんだ。
私に言わせると演奏が全て。それに尽きる。
今ある音がそういう音になるまでには、
実に多くの理由が絡んでいる。
時にはその場にいられたらって思うこともあるよ。
肉体的にもう一度「若く」なるんじゃなく、
それも確かに願望の一つだが、肉体的にもう一度あの空間に戻れたら、とね。
そうすれば私が1969年にミックスした、
とりたてのテープに立ち返ることができる。

でもあんなふうなやり方はもうできない。
何年も前からずっと話しているようなことさ。

「どうだろう、古いアルバムをリミックスして、
もっといい仕上がりにしてやるべきなんじゃないか」
そして私は毎度のように「ノー」と答える。

それは今の私があの頃の私と違っているからだ。
あれから私の人生にはいろいろなことがあった。
レコードはあの時代の記録、私がどういう人間で、
どういうところにいたかの記録なんだよ。
私が口にしていたもの、愛し合っていた女性のね。
わかるかい?あらゆるものの記録なんだ。

ドアーズの周りは、哲学者のよう。

余談だけれど、1988年ごろ、ドアーズの三人が

PRのため 来日して、

ピーター・バラカン氏と

TVでトークした内容。

 ■ピーター
 「初期の作品は、クレジットが「ドアーズ」名義になっていたのは、
 ヒッピー文化と関係ありますか?」
 ■ジョン・デンズモア
 「ヒッピー?どういう意味?」
 ■ピーター
 「分かち合うとか・・・」
 ■ロビー・クリーガー
 「ジムは、ミステリアスな雰囲気を好んでいたんだよ。
 この曲は誰が作ったとか、聴いてる人に悟られたくなかったんじゃないかな」
 ■レイ・マンザレク
 (笑いながら同意)

今でこそ、バンドの内情がわかる本とかで、

確認できるけれど 80年後半日本で、

こういうコメントはとても珍しく、

若かった自分は驚いた記憶がある。

ビデオ録画したものを何度も観て、

このほか いくつか質問してて覚えてるのは

レイの子供が中学生になって、

「The End」を聴いたら

「パパ、これってすごいヘヴィーだね」

って言ったと言ったら

ロビーとジョンが大笑いしていたとか。

50歳過ぎた今でも、忘れてないのでした。

さらに余談の余談、 ピーター・バラカン氏と

私の誕生日と、この本の出版日が同じでした。

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。