ボブディラン インタビュー大全(2019年) [’23年以前の”新旧の価値観”]
ツアーが嫌いな人は多いけど、俺にとっては呼吸をするように自然なことだ。
コンサートに出たい気持ちが抑えられないから出演するわけで、
結果は最悪だったり最高だったりする。ステージ上では体が
凍りつくような思いをするけれども、その一方で俺にとって唯一の幸福を
感じる場所なんだ。自分のなりたい人間になれる唯一の場所だ。
日常生活で自分のなりたい人間になることはできない。誰だろうと、
日常生活はがっかりすることだらけだ。でもこうした何もかもを
解決してくれる万能薬はステージに上がることで、
だからパフォーマーはやめられないんだ。
(1997年9月「ニューヨークタイムズ」)
■”大衆という怪物” について
俺の目に映るのは「大衆」という怪物だ‥アメリカのそこいら中にいる。
自宅、ベッド、クローゼットの中にまで侵略している。生命そのものを
抹殺しかねない。森の奥や田舎に引っ込んでも追いかけてくる。
あらゆる人を同じ型に押し込めたいみたいだ。異質な人は
ちょっとイカれているか変人とみなされる。こうしたすべてに巻き込まれずに
正気で居続けるのは大変だ。
(ローリングストーン誌1986年1月)
■宣伝活動と一般市民について
こういった宣伝活動では、みんな誰かが他人のことを喋っているのかと
思ってしまう。そのまま受け入れようとしているが、これが俺の人生にとって
有益かどうかは疑わしい。観客の反応には関わらないように努めている。
わざとらしくなるからね。それに俺じゃ手に負えないよ。俺は基本的に
リアルなことにしか興味がないんだ。
(タイム誌1974年1月)
余談だけど、2000年ごろ、
有楽町のライブホールにて、
ディランのライブの時のこと、
アンコールって時、
興奮した客が前にどっと押し寄せ、
曲が始まったら、
ステージ上に数人上がってしまい、
ディランにタッチしたり、
メンバーに触ったりして、
曲が止まってしまい
ツアースタッフ(外人)が怒り狂って、
ステージに上がった客を
ボンボン客席に放り返していた。
その様はかなり危険かつ、
恐ろしい雰囲気で
暴動の様相を呈していた。
客電が点いて、騒然とした空気で
多くの客が「これで終わりか・・・」 と
思った矢先に、ディランが
ニコヤカに出てきた。
そのとき自分は思った。
「あー、こういう人なんだなあ、ディランって」
そして「雨の日の女 - Rainy Day Women #12 & 35」を
演奏し始めたんだけれど最終フレーズ
「everybody must get stoned」を会場が大合唱。
このアクシデントのために演奏したとしか
思えない盛り上がり方だった。
2022-03-22 17:39
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