過日、NHKで落合陽一氏と対談されていた


台湾のオードリー・タンさん。


台湾をデジタルで引っ張る姿に


興味あり2冊読んでみた。


(1)




私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2 (朝日新書)



  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版

  • 発売日: 2021/08/12

  • メディア: Kindle版





マルクス・ガブリエル、パオロ・ジョルダーノ、その他


第2章 分断を超えて


■オードリー・タン(台湾デジタル政務委員)


《 対立より対話で共通の価値観を見つけ


 憎悪の広がり回避を 》


日本との違いは から抜粋


 


 日本がマイナカードへの理解が


 遅れているのは個人情報保護の観点が


 クリアにならないからといわれるが


 日本よりも統制のとれている


 台湾ではどのようにしているのか、


 についての回答



個人情報をめぐる不安を払拭するには二つのことが重要です。


まず、誰がどんな時にカードにデータを書き込め、読み取れるのかを法制化することです。


例えば法律で許可されていない保険会社が読み取ることは違法です。


 


二つ目は、誰が内容を読み取ったのかを記録することです。


後で問題が起きた時、刑事責任を追及するのにも役立ちます。


台湾ではネット上で、自分の健康保険カードに誰がデータを書き込み、読み取ったのかを調べられます。


医師の診断内容だけでなく、X線やCT撮影の写真も見られます。


このシステムは官民の信頼を増すのに役立っていると思います。



 デジタル化の理想とは、


 についての回答



誰でもブロードバンドに接続できるようにすること。


社会や産業の革新を促し、議論の場を設けること。


利害が異なる各界の人との議論を通じ、共通の価値観を見いだせる統治方法をみつけること。


これまで政策決定に関与してこなかった人々や、デジタル技術を使うのが苦手な年配者、地方在住者や若者を巻き込むことの四つです。


デジタル環境を確実にして利用権を保護したうえで、社会の革新を促す。


官民で統治の規則を作り、将来世代を含む様々な人々が意見を述べ、、行政から説明を聞くことができるシステムです。



日本の場合、どうしても既得権益が邪魔をするような構造で


タンさんの言うようにはいかないのだよなあと。


だからこそ、「対立」でなく「対話」をと提言される。


インフォデミックを回避するには


から抜粋



デジタル技術が人々を結びつけた時、意見の相違から憎悪が生じることがあります。


言語の自由が保障された社会で、この傾向は顕著でしょう。


新型コロナウィルスのパンデミック(世界的流行)になぞらえ、インフォでミックと呼びます。


ウィルスのように感染していき、意見の異なる相手を人としてみなさなくなる。




大きな革新が次の革新を妨げかねないことです。


私は情報の集権化と呼んでいます。


行政機関や多国籍企業などに権力が集中してしまい、革新を試みるためにはそれから承認を得なければならなくなる状態です。



 それは解決できるのか、


 の回答



全社会の取り組みが必要です。


一つ目の課題で言えば、すでに多くの人々が自ら情報を発信するメディア的存在ですが、彼らは職業記者のような情報源の確認や複数情報の照合をしていません。


未確認情報が散布されています。


手を洗ってマスクをするのと同じく、人々が自らを守ためにメディアリテラシー(情報を見極める力)を向上させる必要があります


また二つ目については、人々が今より物事の決定権を持てるような革新でないとダメです。


人々に特定の価値観を押し付けるようなものでなく、説明責任も伴う革新であることが重要です。



こういう事を日本の政治家が言う姿が想像できないのだよねえ、残念ながら。


続いて2冊目でございます。


(2)




Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔 (文春文庫)



  • 出版社/メーカー: 文藝春秋

  • 発売日: 2022/08/03

  • メディア: Kindle版





はじめに から抜粋



私は政府のためではなく、政府とともに働いているのです。


人々のためではなく、人々と共に働いているのです。


チャンネルのひとつに過ぎない私が、政府のあり方に過激なまでの透明性を持たせることで、みんなは政府がどのように運営されているのかを知り、参加したり、意見を述べたりする方法を知って、政府への請願もできるようになるのです。



Q&A 唐鳳召喚 オードリーに聞いてみよう!


About Episode 7 : 未来の世界を想像する


から抜粋


日本ではネットでの誹謗中傷が問題になっていて


両刀の剣ではないかと言われるが、


についての回答。



ネットに対する私の基本的な考えでは、参加者数を減らして選ばれたメンバーだけを受け入れるような形態にすれば、それは結局ラジオを聴いたり、テレビを見たりするのと変わらないことになるので、インターネット本来の機能は果たせず、意味もなくなると思います。


 


大事なことは、情報のダウンロードとアップロードのバランスなのです。


ネットコミュニティからのダウンロードに対し、アップロードが多ければ多いほど、自分がインターネット上の「市民」であると感じられます。


 


逆に、何かあればすぐに情報を受け取るだけで、自分にとって何が必要かを判断できなかったり、「何をしてもどうせ意味がない」と、社会に対する無力感に支配されてしまったりすれば、それはどちらも受け身の状態です。




簡単に言えば、クリエイティブであれ、ということです。


クリエイティブであれば、いつも自分のアイデアについて考えていなければならず、もう他人の意見を「ダウンロード」して時間を浪費する必要はなくなります


 


何であれ、過剰なことは良いことではありません


情報の受け取りすぎは良くないので、すべては適切な量があればいいんです。



なかなかシビれます。


今を生きる最先端の人の意見というか。


天才というよりも、時代の寵児っていう印象の方が強い。


 


オードリー・タンが選んだ、人生で最も影響を受けた本



<日本語版>


老子』金谷治著(不明年)


論理哲学論考』ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン著・丘沢静也訳(1921年)


哲学探究』ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン著・丘沢静也訳(1953年)


真理と方法I<新装版>哲学的解釈学の要綱』ハンス・ゲオルク・ガダマー著・轡田收・他訳(1960年)


世界史の構造』柄谷行人著(2010年)


詩経』目加田誠著(不明年)


ファウンデーションの彼方へ』アイザック・アシモフ著・岡部宏之訳(1983年)


はてしない物語』ミヒャエル・エンデ著・佐藤真理子訳(1982年)


新版シルマリルの物語』JRR・トルーキン著・田中明子訳(2003年)


フィネガンズ・ウェイク』ジェイムズ・ジョイス著・柳瀬尚紀訳


ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀』エリック・A・ポズナー、E・グレン・ワイル著


遠藤真美訳・安田洋祐監訳


ジャーゴンファイル』Raphael Finkeil 著



バリバリのプログラマであり


俗にいう”Parl使い”の方であるため


思考法が”分岐”や”IF構文”というのもあるからか


忖度なく政治を行えているのかと


勝手に推測の上、感じた。


 


ちなみに落合陽一さんもプログラマなので


そこらで気が合うというのもあるのかも。


 


影響受けた本の中では


『ラディカル・マーケット』を読んでみたい!と思った。


 


ミヒャエル・エンデは『モモ』じゃないものを


選んだというのが気になった。


 


あとは『老子』以外知らなくて


これは良いテーマをいただきました。


どれも面白そうでございます。