2冊の本から未来は安堵できるのか考察 [’23年以前の”新旧の価値観”]
シンギュラリティは近い [エッセンス版] 人類が生命を超越するとき
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2016/04/26
- メディア: Kindle版
第一章 6つのエポック
から抜粋
迫り来るシンギュラリティという概念の根本には、次のような基本的な考え方がある。
人間が生み出したテクノロジーの変化の速度は加速していて、その威力は、指数関数的な速度で拡大している、というものだ。
指数関数的な成長というものは、つい見過ごしてしまいがちだ。
最初は目に見えないほどの変化なのに、やがて予期しなかったほどに激しく、爆発的に成長する。
変化の軌跡を注意深く見守っていないと、全く思いもよらない結果になる。
シンギュラリティとは、われわれ生物としての思考と存在が、みずから作りだしたテクノロジーと融合する臨界点であり、その世界は、依然として人間的ではあっても生物としての基盤を超越している。
シンギュラリティ以降の世界では、人間と機械、物理的な現実と拡張現実(ヴァーチャルリアリティ・VR)との間には、区別が存在しない。
そんな世界で、間違いなく人間だと言えるものが残っているかと問われれば、ある一つの性質は変わらずにあり続ける、と答えよう。
それは、人間という種は、生まれながらにして、物理的および精神的な力が及ぶ範囲を、その時々の限界を超えて広げようとするものだ、という性質だ。
こうした変化に対して、否定的な意見を述べる人たちがいる。
シンギュラリティ以降の世界に移行すると、人間性のなくてはならない面が失われてしまう、というのだ。
だが、こうした意見が出てくるのは、テクノロジーがどのように発展していくかが誤解されているからだ。
これまでに存在した機械は、人間特有の生物としての性質に必須な繊細さが欠けていた。
シンギュラリティにはさまざまな特徴があるが、それが指し示すもっとも重要な点は、テクノロジーが、人間性の粋(すい)とされる精巧さと柔軟さに追いつき、そのうち大幅に抜き去る、というものだ。
6つのエポック
から抜粋
進化とは、増大する秩序のパターンを作り出すプロセスのことだ。
本説では、パターンという概念に注目したい。
パターンが生まれ進化してきたからこそ、この世界の究極的な物語ができあがったのだと、わたしは考えている。
進化は間接的に作用する。
つまり、それぞれの段階、すなわちエポックでは、その前のエポックで作られた情報処理手法を用いて、次なるエポックを生み出す。
以下に、生物およびテクノロジーの進化の歴史を、6つのエポックに分けて概念化した。
シンギュラリティはエポック5で始まり、エポック6において、地球から宇宙全体へと広がっていく。
第四章
人間の知能のソフトウェアを実現する
ーーー人間の脳のリバースエンジニアリング
脳のリバースエンジニアリングーーーその作業の概観
から抜粋
人間レベルの知能と、コンピュータがもともと得意な、速度、精度、記憶共有の能力を組み合わせれば、ものすごいことになるだろう。
だが、今のところ、人工知能「AI」の研究や開発のほとんどには、必ずしも人間の脳の機械をベースとしていない工学手法が用いられている。
その理由は単純で、人間の認知能力の詳細なモデルを組み立てるのに必要な、ふさわしいツールを手に入れていないから、というものだ。
脳のリバースエンジニアリングを行うーーー脳の内部をのぞき込み、モデル化し、各領域をシミュレートするーーー能力は、指数関数的に伸びている。
最終的には、われわれ自身の思考の全域にわたって根底を支えている作用の原理を理解して、そこで得た知識から、インテリジェントマシンのソフトウェアを開発するための強力な手順が作られるだろう。
生物のニューロン内部で起こっている電気科学的な処理よりもはるかに強力なコンピューティングテクノロジーにこうした技術を用い、調整し、改良し、能力を拡大していくだろう。
この壮大なプロジェクトから得られる大きな利点は、われわれ人間の仕組みを正確に理解することができるようになることだ。
さらに、アルツハイマー病や、脳卒中、パーキンソン病、知覚障害などの神経学的な問題に対処する新しい強力な手法を手に入れ、究極的には、われわれの知能を大きく拡大することができるだろう。
病気の解明には期待したいのだけど
なんだか恐ろしいような世界に突入しそうというのは
古い価値観の人間だからだろうか。
確かに、仕事の面でも、説明する際
脳にUSBメモリのようなものを差し込んで
抜き出し、「これ読み込んどいて」っていう方が
正確で無駄がない、と考えたことはあったし、ある。
これが未来なのかなあなどとも思った。
しかし本当にそのような世界が来るのだろうか
そしてそれが本当に人類・地球に良い方向に
行くのかなあというのは
生物学者の池田先生の随筆が頭をよぎる。
日本の政治主導による
高齢者医療制度にもの申しつつ
以下のように始められる書籍から。
はじめにーーー必要以上に介入してくる社会
から抜粋
一度何かが決まってしまうと、その制度を前提としたビジネスで大儲けしている人たちが世の中には大勢いるからだ。
県や市の健康福祉部の高齢化支援にかかわって儲けている企業は必ずあるし、人間ドックも含めた日本の健康診断市場は9000億円以上だといわれている。
そこに金の匂いがする限り、あと戻りなどできるはずがない。
その一方、コロナ禍においては必要な医療が受けられず、自宅療養という名の自宅放置で多くの人が命を落とすことになった。
医療サービスを受けたいのに受けられないといったことはあってはならないことだけど、このような医療崩壊の原因の一つは、厚労省が2015年以降、毎年全国の病院数を減らすことに腐心したことであり、それもまた、経済効率を優先するための判断だったのである。
つまり、国というのは人々の健康に口出しはしてくるけれども、それを本気で守る気などさらさらない。
本当に守りたいのは、利権の確保や経済効率、つまりカネなのである。
なんでもビジネス、利権がらみにしないと動かない人々。
それが主ではない人もごく僅かかもしれないが、
いると自分なぞは感じておりまして、その人たちが
良き方向に行くようナビゲートできないだろうか
というのは他力本願の他人任せすぎ、かつ、
ちと宗教的だろうか。
お互いにとって良いところを引き出す仲間みたいな
関係になれないだろうか。
人間とAIは。
金儲けの手段という低いレベルの話に終始せずに。
資本主義だから仕方ないのか、この流れは。
無謀な権力に巻き取られたくないなんてのは
青い考えなのだろうか…。
でもって話はカーツワイルさんに戻りまして。
エピローグ 人間中心主義
から抜粋
一般に、科学は人間のみずからに対する思い上がりをつねに是正してきたと見られている。
古生物学者のスティーブン・ジェイ・グールドも言う。
「重要な科学革命すべてに共通する特徴として、人間中心の宇宙という信念の台座から、傲慢な人間を一段ずつ引きずり下ろしてきた、ということがあげられる」
しかし結局のところ中心にあるのは人間だ。
脳内でモデルーーーヴァーチャルリアリティーーーを作り出す人間の能力は、見た目には地味な親指の機能とあいまって、技術という進化の別形態を導くのに充分なものだった。
こうした技術の発展によって、生物進化と共に始まった加速ペースが持続されてきたのだ。
この加速は宇宙全体がわれわれの指先の意のままになるまで続くだろう。
昨今、ざわつかせているChatGPT。
《グーグル、チャットGPT対抗の「Bard」を米英で一般公開(3.22配信)》
カーツワイルさんも絡んでいるのだろうか。
昨日のニュースも興味深いところではあるが
古いニュースを読んでみると
やはり無関係ではなさそうな気もして。
《2022年はシンギュラリティ元年!「進化するジェネレーティブAI」と「変化する暮らし」とは?(2022.12.30配信)》
新しいものは、良い面・悪い面あるのは、
仕方ないのだけど、良き方向に使われてほしい。
でも、学生さんたちは勉強する意味がわからなくならないだろうか。
老婆心ならず、老爺心ながら思う。
中学の時の英語の先生が
「勉強とは覚えること、
学校は勉強の方法を教わるところ、
そして、勉強は家でするの!」
って言ってたけど完全にアナクロニズムに
なってしまった気がするのだよなあ。
覚えなくていいし、場所選ばないし、
時間だって節約できるし。
そういう視座での心配も昭和的なのかなあ。
余談だけど、その中学の先生は良い先生で、
おかげで英語が嫌いにならず
洋楽に入っていけたのは
感謝してますので、disっているわけでは
ありませんので。
齢50をとうにすぎて他人をdisっても
意味ないすからね、と
静かすぎる早朝で鳥の鳴き声が聞こえ始めました。