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変身のロマン:澁澤龍彦編(1972年) [’23年以前の”新旧の価値観”]

太宰治は「斜陽」「人間失格」「走れメロス」

「グッドバイ」「葉桜と魔笛」と他、

数篇読んだけれど忘れてしまったが、

これは初読。

しばらく本を読みたくなくなった。

これが文学なのかもしれない。

編集後記 澁澤龍彦
■「魚服記(1933年)」太宰治
「魚服記」という題名は、申すまでもなく「夢応の鯉魚 ー 雨月物語より(上田秋成)」が典拠として利用した、宋の説話から借りたものであろうが、太宰がここで描いているのは、東北津軽の郷土色豊かな、抒情的なフォークロア的世界である。
だから翻訳臭は全くなく、完全に太宰の世界となっている。
しかし、太宰が秋成の物語を意識しているのは明らかで、「魚服記」の主人公は芸術家ではないが、それでも父親に純潔を汚されて生きて行くことのできない、山家育ちの潔癖な少女であるという点では、やはり芸術家のアナロジーとも解することが可能であろう。
いわゆる太宰のいやらしさが、ここでは全く影をひそめて、作者の詩魂が誰の心にも染み透ってくるような、これは文句なしの傑作である。

一回読んだだけでは、

つげ義春みたいだな、とか、

幻想的だな、くらいにしか思わず、

上記の澁澤さんの「編集後記」を読んでもまだ、

「え、そうなの?」程度で、

Webでどなたかの書評を読んで

「ええええっ、そうなの!!」と

のけぞり、事態の深刻さを把握。

本当に自分は疎いというか鈍い。

小説家を目指さなくてよかった。

そういう意味も含めて完膚なきまで

叩きのめされた90年くらい前の短編。

余談だけど、少女が主人公になっている

日本のコンテンツって多いけれど、

宮崎駿さん、雑誌CUTで

「少年の存在っていうのは、悲劇的にならざるを得ないんです。(2010年)」

って仰っているというのを村上龍さんも

随筆で書いておられた記憶がある。

NHKの朝ドラも同じような理由なのだろうか。

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