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高倉健インタヴューズ:野地秩嘉著(2012年) [’23年以前の”新旧の価値観”]

映画に出るときの基準はまず、ギャランティがいいこと、
それから、拘束時間が短いことの2つです。

仕事を決めるにはまずホン(脚本)を読みます。
ホンの中に一言でもいいから
ゾクゾクっとくるセリフがあればやることにしてます。
ただ、「急いで読んでくれ」と頼まれても、それは無理です。
ホンは体調を整えて、真剣に読まないと、
受ける印象が違ってしまいますから。

黒澤(明)監督が演技について
話されていたことをうかがったことがあるんです。
いえ、直接ではなく、非常に近いところにいた方から聞きました。
「形を真似ろ」と。心や感情はいつでも真似できる。
俳優を一年もやれば心の中で悲しい気持ちを
作ることなんて誰でもできる。
だが、悲しみを形で表現することは難しい。
そのためには古典を勉強しろ。
そうおっしゃったそうです。
なるほどなあ、と思いました。仕舞や能はお面をかぶるでしょう。
お面をかぶって首をほんの少し傾けただけで悩みや悲しみを
表現するのですから。その形ができるようになったら一人前と
いうことなのでしょう。

健さん、黒澤監督を袖にしたという経験を

何年か前に、もちろん、偉そうにではなく

事実として淡々と話されていたのを

何年か前のWebのニュースで読んだ。

萩原健一さんも別の書籍で書いてたけど

黒澤さんの映画は拘束時間が

とてつもなく長くて 他の仕事ができなくなるから、

役者は生活が厳しいんだ みたいな。

健さんのインタビューでは

そこまで言ってなかったけど

覚えている限り、こんなことをおっしゃっていた。

 

三船さんと離れてからの黒澤さんを評価できない  

映画は一人ではできない


天下の黒澤明にこれを言って

「様」になるのは 高倉健、ただ一人だろう。

といいつつ、健さんの映画は

「あなたへ」くらいしか

きちんと観たことがないんだけど、

どもすみません。

余談だけれど、NHK「クローズアップ現代」で

国谷裕子キャスターがインタビュー

していたのが忘れられない。

これは映像で見ないと凄さがわからないけど

テキスト書き起こし、抜粋です。

そりゃ、行こうと思えば
世界中どこへでも行けて、良いホテルに泊まって
良いレストランで飯が食えて、
なんか、そういうことが考えなくても
メニューの値段表見なくても、飯が食えて
そういうふうに、なんか、
いつの間にかなってしまって
乗るヒコーキはファーストクラス、
泊まるホテルはスイート
なんか自然のようになってますけれども
・・・・(沈黙)
やっぱりこの仕事をやってきて良かったと思えることは
そういうことではなくて、
鳥肌の立つような感動をした時ですね

国谷裕子さんの本も素敵でしたことをご報告します。

キャスターという仕事:国谷裕子著(2017年)

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