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悪役やぶれかぶれ:小松方正著 (1983年) [’23年以前の”新旧の価値観”]

元大蔵省の役人さんで俳優業に転職。

多くの悪役で 名を馳せた俳優さんの芸能界についての内容だった。

30年以上前、働いていたデザイン会社の資料書籍箱の中に、

創刊間もなかった「イミダス」だったかと思われるのだけど、

その中に小松さんが見開きコラムで、スピリチュアルな

アナザーワールドに迷い込んだことを書かれて興味を持ち

いつかディグしたい思っていたが、そういうネタはほぼゼロだった。

少しはあるけど、夢で見た娘の学校の不合格通知とか、

ほんの不思議話程度。

ちなみに80年代は「スピリチュアル」という語はなく

「オカルト」「精神世界」「ミステリー」とか呼ばれてて、

小松さんはよくテレビでお見かけ(「熱中時代」とか)するけれど

そういう方面とは無縁と思っていた。

(丹波さんはすでにその方面に明るかった)

それより引っかかったのは、美空ひばりさんとのエピソード。

■ひばり座長(から一部抜粋)
ひばりさんが稀代の大物スターであることは、
何よりも興行の実績が示している。
大方の歌手が何をおいても出たがる大晦日の紅白歌合戦に
NHKがぜひ出てほしいというのを、もう何年も袖にして
いるばかりか、映画はもとよりラジオやテレビにも
そう頻繁に出演しているわけではないのに、この19年間、
梅田コマや新宿コマのひばりショーは初日から昼夜、
いつも満員の盛況を呈している。

(中略)
ひばりさんの歌にしびれ、芝居に堪能して、同じ出し物を
見に三度も四度も劇場に通う熱心なファンもいるのである。

今の80歳から90歳あたりの「美空ひばり」さんへの神格化っぷりは

50代の自分には戦後の混乱期の生きる「よすが」だったのか、

くらいにしかわかるような、わからないような。

そしてそんな超絶人気のあるひばりさんが

劇場入りした時の事件に触れられる。

ひばりさんを乗せた車が楽屋口のある路地に入ってくると、
出迎えの幹部社員とファンと物見高い通行人の野次馬で
楽屋口付近は山のように膨れ上がる。その際は制服の
ガードマンがファンと野次馬を巧みに選別して野次馬を
路の片側に押しやり車を誘導するのである。
たまたま、車中のひばりさんを一目見るべく首を伸ばして
覗こうとした中年女性を、ガードマンが背後から邪険に
押しのけた拍子に、女性は足を滑らせて転倒した。
どこにも怪我はなかった様子で、勢いよく起き上がったが
「フン」と唾でも吐きかけない憤怒の形相もの凄く車の中を睨みつけ、
慌ただしく人混みの中に消えた。
その一部始終をひばり座長は目撃した。プロデューサーはじめ
責任者が座長室に呼ばれて大目玉を喰ったことは言うまでもない。

ひばりさんは目に涙を溜めて言うのである。
「そりゃ劇場にとってはお金を払って見に来る人だけ
お客かもしれないけれど、私にとっては野次馬だって
大事なお客さんなのよ。だからどこまでも親しい気持ちで
接してほしいの。それを、あんな風に邪険につき飛ばすんだもの。
そうよ、劇場も私もお客を一人失ったんだわ。」と。

これは、「ブランド毀損」のことを言っていますね。

原因みたいのを考えると、かなり前だけど、

「バイトテロ」にも遠からず一脈通じる。

飲食店のアルバイトの若い方達が、お客さんや管理職が

いない時を狙って 店内で裸になり椅子に座ってニッコリ

みたいな画像をネットにアップ 友達同士のSNSで拡散、

当人たち、他の友達のSNSにはない

写真を自慢したかっただけだと思うが、

会社の損害は当然大きく、その店舗は閉店、または企業自体が

大きな信用失墜を喰らった。

アルバイトやガードマンにとって、そこまで影響があるとは

思わないから、アルバイトで言えばちょっとした「遊び心」

ガードマンにしたら「仕事しただけ」

ってことで、そこの違いはあれど、共通点は「知らないって怖い」

とでもいうか「そうすることで損なう企業価値」

とかなんだろうけれど。

聞いてないでは済まされない。

からの、言われてないからやらない。

では、どこまでマニュアル化すればいいのか、

からの、マニュアル化すりゃいいのか、とか、

かなり面倒くさい。

ただ、これは今の自分も気をつけたいと日々注意を払っていて

個人の力では限界あるので、こういうのを防ぐためにも、

職場の風通しは重要と思う。

全くの余談、某コスメ系企業のブランド広報が、

Twitterでの発信をやめたってのを聞いたのは2−3年前だったか。

それはそうだろう、140文字程度で

ブランド価値を守り、上げる(しかも即時対応!)なんてのは、

如何に、三島由紀夫、川端康成が担当してたとしても

無理だろう。 (例えが古すぎだよ!)

でもそういうのも、やってみて失敗して、いわゆる

トライアンドエラーをしてみてわかることなんだろうな。

まさに人生そのもののような。

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