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三島由紀夫の最後の対談にて [’23年以前の”新旧の価値観”]

三島由紀夫 最後の言葉 [新潮CD] (新潮CD 講演)

三島由紀夫 最後の言葉 [新潮CD] (新潮CD 講演)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/06/24
  • メディア: 単行本
「絶対者と民衆」という流れでなぜ「天皇」を

絶対者として復活させないとならないのか? を

説明している途中の発言を全集から抜粋し

音源をきいて加筆訂正。

60年年代後半、ある人がスウェーデンの
残虐行為査問委員会の情景を新聞に書いていた。
ベトナムの農民が負傷して、ホータイ姿で
証人台に立つ。
それがボロボロの着物を纏っている。
ところがその農民に同情している委員会のメンバーときたら、
良い洋服を着込んで犬を連れている中年紳士というわけです。
彼らは熱心に農民の訴えを聞いて、
しきりにけしからん事だと同情する。
その情景になんともいえない違和感が
感じられたと書いてある。
こんな事になっているのも僕は
スウェーデンの政治体制に問題があるんだと思うんです。
スウェーデンは150年前にロシアとの戦争で負けた。
その傷を回復していなかったから、そういう、
つまり相対主義の国になったと僕はみているんです。
あそこでは国民精神というものを無くした代わりに、
人類平和の理想に逃げたんですよ。
人類平和の理想に逃げた果てにあったものは、
政治体制としてはね、単なる相対主義、
そこから出てくる「福祉国家」という理念でしょう。
もっとも今や人類最上の価値は、「福祉」でしょう?
今が民社党だって福祉主義に対する反省に立っていますからね。
共産党や社会党はどうだか知りませんが、
とにかく「福祉国家」ということに対する
反省ができている。

この氏の発言は今まで見過ごしてきたのだけど自分としては

「福祉国家」というのは最上の理想で、

「スウェーデン」や「イギリス(サッチャー時代)」

「オーストラリア」 「アメリカ」「カナダ」を

見習うべきとかねてよりうっすらと思っており、

鋭いことを50年以上前から

おっしゃってたのだなと思った。

(ご本人それを肯定はしてなかったとしても)

全くの余談だけれど、三島氏というと

日本の未来を予言してたと言われ

「このままいけば日本は無くなり、

無機質なニュートラルな大国が 極東の一角に残るだろう」

の発言ばかり取り上げられるが それもバブル(1990年ごろ)

くらいまでのことなんではないかと。

それでも充分凄いとはおもいますが、

聡明な方であればそういう発想に帰結するのは

当然だったのではないだろうか。

ああいう最期を遂げたので、今だ「大手既製メディア」は

センセーショナルに取り上げるが

自分はいつもそういうのは違和感を感じるし、

マスコミや民衆を冷静に分析できた 三島さんはできれば、

生きていて欲しかった日本人の一人です。

さらに余談の余談、NHKで三島さんの特集の時、

美輪明宏さんにNHKが投げかけた質問。

ノーベル賞受賞を逃した三島さんは

どんな気持ちだったでしょうか?に対して

「天才の心を察するのは僭越です」

さすがです。

おみそれいたしました。

「大手既製メディア」にご苦労されている

美輪さんでなければ、このセリフは様にならない。

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